多世代・多地域ごちゃまぜで、楽しみながら健康になれる居場所「蓬沢いきいきサロン(甲府市)」の取り組み【前編】
「いきいきサロン」は、地域に住む人たちの出会い、交流、仲間づくりの場として、誰でも参加できる地域交流の場です。住み慣れた地域で生きがいをもち、健康で楽しい生活を送るため、山梨県内の各市町村において、住民が中心となり、様々な活動が行われています。
ここ「蓬沢いきいきサロン」は、甲府市蓬沢公民館を活用した多世代・多地域ごちゃまぜの居場所(常設型サロン)です。
サロンを立ち上げたのは2年前。蓬沢地区で暮らしている猪狩裕太さん、理沙さんご夫婦が中心となって運営しています。 令和5年度には厚生労働省・スポーツ庁が主催する「第12回健康寿命をのばそう!アワード(https://www.smartlife.mhlw.go.jp/award/)」にて健康・生活衛生局長優良賞を受賞するなど、住民主体による健康づくりの活動としても評価されています。
前編となる今回は、サロン活動の内容を紹介するとともに、サロンの参加者、学生ボランティア、猪狩さんの息子小学校5年生の武琉(たける)くんへのインタビューの模様をお届けしたいと思います。(聞き手:山梨県社会福祉協議会コミュニティ再生推進室 矢巻)
5月9日のサロン活動「クッキーづくり」に参加
5月9日に行われたサロン活動では「山梨県立大学在宅看護研究会サークル」の学生ボランティアと一緒に、クッキーづくりにチャレンジしました!
サロン参加者の植松さん、池田さんへのインタビュー
矢巻 いつ頃から蓬沢いきいきサロンに参加されているんですか?
植松さん 私は最近来たばっかりです。
池田さん 私は丸2年かなぁ?
矢巻 ここに来始めたきっかけは何だったんですか?
植松さん 75歳になって市から送られてきたアンケートに回答したら市から相談員の方が来てくれたんです。日中なんにもしてなかったし、車が無くても歩いて行けるところなら、ここがあるよって教えてくれたんです。それがきっかけで来るようになりました。
池田さん 私は友達が猪狩さんたちを知っていて、近くにいいところがあるからおいでって声かけてもらったのがきっかけです。
矢巻 お二人はどれくらいのペースで来られているんですか?
池田さん 用事がない限りはほとんど来ています。週4回来ている感じですね。
植松さん 私も同じです。大体はここに来ているかなぁ。
池田さん ここに来ると楽しいからね!いろんな方とおしゃべりできて楽しいし、笑えるし、猪狩さんたちもいい人たちだからね。
矢巻 ここに来るようになってから生活の中で変わったところってありますか?
池田さん ありますよ!ウチにばっかりいたときには「まだ時間があるからいっか」と思って洗濯物をお昼頃してたけど、午後1時30分にはここに来るようになってからはそれじゃ間に合わないので、朝すぐ洗濯して、お昼ごろには取り込んでっていう風に変わりました。そういう1日の中での時間の予定を組み立てるようになったのは全然違いますよね。それでサロンから帰るのが4時くらいだから午前中何か1品くらい煮物をつくっておくようにしてます。そうすると夕飯の準備が楽だから!笑 それに味も染みてちょうど良くなるんです。
植松さん 私は人と話をするようになったというのが大きく変わったところかなぁ。ウチにいると夫と2人だけなので、ここに来ると大勢の人といろんな話ができるので楽しいです。
矢巻 こうしたサロン活動に参加されていない方に、伝えたいことってありますか?
植松さん 私もよく友達を誘って来てるんですが、もっと大勢来てもいいよね!ウチでこもっているよりかはこうしたところに出てきたら楽しいですよと伝えたいですね。
池田さん 孫の送り迎えをしている友達もいるので、子どもを連れてきて参加できる機会なんかもあったらいいですね。みんなで元気に楽しく通い続けられたらと思っています。
学生ボランティアインタビュー
蓬沢いきいきサロンでは様々なボランティアと協力してイベント企画を行っており、今回のクッキーづくりは「山梨立大学在宅看護研究会サークル」の提案で実現したそうです。そこで、在宅看護研究会のリーダーをしている看護学部3年生の深澤希実(ふかさわのぞみ)さんにお話を伺いました。
矢巻 「在宅看護研究会」ではどのような活動をされているんですか?
深澤さん 看護学部のキャンパスがある甲府市池田地域を中心にボランティア活動を行っています。池田地域で行われているオレンジカフェ(認知症カフェ)をはじめ、子どもたちや地域の人たちとの交流の機会を企画したりしています。オレンジカフェの1コマを学生メンバーみんなで企画するなど、地域住民の方々との関わり方などについて学ばせてもらっています。先生の紹介で蓬沢いきいきサロンにつないでいただき、定期的に参加させてもらっています。
矢巻 深澤さんがサークルに参加したきっかけは何だったんですか?
深澤さん 元々ボランティアが好きだったというのもありますが、地域で暮らしている方々への看護を考えていきたいという思いがあって、地域の人たちと関わる機会のあるこのサークルに参加しました。サークルには子どもに関心のある子もいれば、高齢者関係の活動に興味がある子もいて、それぞれいろんなきっかけで参加していますが、ボランティア活動をつうじて学校生活以外の方々との関わりの場面をつくりたいと思うのは共通しているかなぁと思います。
矢巻 これまでいろんなボランティア活動をされてきたと思いますが、その中で印象に残っていることはありますか?
深澤さん オレンジカフェや蓬沢いきいきサロンでの活動もそうですが、地域の方に私たちのことを覚えてもらえたのがとても嬉しかったです。今日も「久しぶり~!」なんて声をかけてもらったりして、人間関係ができていくことで、話せることが広がっていくのが面白い!と感じています。
矢巻 この蓬沢いきいきサロンもそうですが、いま多世代で交流する場を意図的につくっていく必要がある社会になってきてしまったと思います。多世代での交流というものについて、どんなイメージを持っていますか?
深澤さん いま、おじいちゃん・おばあちゃんと一緒に住んでいる人って少ないじゃないですか。言葉を変えれば孫と一緒に住んでいる人も少なくなっているので、同じ世代の人との関わりばかりが多くなってしまっていると思います。同じ世代同士の関わりももちろん大切ですが、違う世代の方々との関わりは、同じ世代と関わるのと違う楽しさがあるし、学べることがたくさんあります。せっかく同じ地域の中で暮らしているのだから、お互いに関わる接点を持っていくことが大事だと思っています。特に看護学生は、他の世代と関わることで、本当に勉強になっています!
矢巻 看護は様々な世代の人と関わる機会が多いから、ボランティアは実践力につながる活動ですね。
深澤さん やはりコミュニケーション力が大事だと思います。いろいろな方と話すことで、人と関わることへの抵抗感が減っていると思います。実際に実習の時に「どう話しかけていいかわからない…」という子もいたので、人と関わる力はこのサークルで身についたんだなぁと思っています。
矢巻 サークルの今後の抱負を聞かせてください! 深澤さん コロナ禍前は、先輩たちが池田地域の子どもたちと高齢者と「ほうとうづくり」の多世代交流イベントを行っていました。また何らかの形で池田地域の方々との交流の機会を復活させられたらなと思っています。子どもたちとの関わりが少なくなってしまったので、地域の人たちと何かコラボレーションや、地域の保育園とのつながりなんかができたら嬉しいなぁと思っています。
小学生の猪狩武琉(たける)くんへのインタビュー
矢巻 武琉くんはどんなときにサロン活動に参加しているんですか?
武琉くん 学校が早く終わったときや祝日とかに参加しています。とっても楽しいです!
矢巻 サロンではいろんな活動をやってるけれど、お気に入りの活動は何かありますか?
武琉くん ボードゲームです!カードゲームで犯人を捜すゲームがあるんですけど、それがお気に入りです。
矢巻 お友達が一緒に参加したりすることもありますか?
武琉くん 時々友達を誘ったりして参加することもあります。でも、平日は帰ってくる時間にサロンが終わっているので、ちょっと残念です。
矢巻 ここでやってみたい活動って何かありますか?
武琉くん いろんな料理をつくってみたいです。将来は料理を作る人になりたいなって思っています!
矢巻 サロン活動をしているお父さんとお母さんをどう思いますか?
武琉くん いろんなことができてすごいなぁと思ってます。いろんなイベントを考えたり、いろんな人に声をかけたりしているところがすごいです。お家でも料理とかいろんなことを教えてくれて、この間は家でバームクーヘンをつくったんですけど、とっても楽しかったです!
矢巻 いろんなことができる自慢のお父さん、お母さんですね!
武琉くん うん!
次回後編はこの蓬沢いきいきサロンを運営している猪狩裕太さん、理沙さんへのインタビューをお届けします!