「やまなし地域福祉フォーラム2025」を開催しました!

令和7年2月3日(月)山梨県立図書館にて「やまなし地域福祉フォーラム2025」を開催しました!
当日は社会福祉協議会などの社会福祉法人、NPO法人、行政、株式会社、民生委員・児童委員、スクールソーシャルワーカー、県議会議員、市議会議員など、100名を超える方々にご参加をいただきました。特に昨年と比較し、企業の方々から多くの参加をいただくことができ、少しずつですが、私たちが目指している「分野の垣根を超えたつながり」の姿が生まれていることが、とても嬉しかったです。
オープニングトーク
開会後のオープニングトークでは、令和6年度から重層的支援体制整備事業に取り組んでいる山梨市役所 高齢者・介護支援課 支援つなげる担当 主査 長野 博さん、保健師の宮本 佳代子さんをお招きし、保坂 和輝さん(本会「地域支え合いプロジェクト」のアドバイザー)とともに、「地域とのつながりでつくる包括的支援・重層的支援体制の取り組み」と題して、トークセッションを行いました。

山梨市では、市内の関係者や企業の協力を得ながら、各地区をキッチンカーで巡回し、住民との接点をつくる「ふらっとよりみち相談会」などを実施しています。重層的支援体制を進める専任の担当職員を配置することで、職員が動きやすい体制を整えていることが、一つのポイントと話されていました。
「住民との距離が近くなり、いろんな声を聞くことができました。これからもこの仕事に関われていることに”誇りと責任”を持って、山梨市に暮らしていて良かったと感じてもらえるよう、住民とのつながりを広げていきたい」と、熱いメッセージを伝えていただきました。
インプットトーク(基調講演)
「つながることの大切さ」を伝えていただいた山梨市のトークセッションの後は、早稲田大学文学学術院 文化構想学部 教授 石田 光規 さんに「現代社会における孤独と不安ーつながりが減少する社会において地域に何ができるかー」と題し、お話をいただきました。

はじめに、現代は「無理して人とつながらなくても良い社会」が到来し、「つきあう相手を選べる=コスパでつきあう人を選択できる社会」となったことで、選ばれるためには努力が必要であり、そこから選ばれない人が生まれてしまう構造ができたため、誰もが孤独・孤立のリスクを背負う時代となったことを説明いただきました。
さらに、オンラインの普及とコロナ禍が、つながりのあり方に大きな影響を与えたといいます。不要不急という言葉とともに”つながるべき人とつき合わなくても良い人”を見直す「つながりの選別」が加速したことや、人と会うことに理由付けが必要となるなど、放っておいてもつながりに取り込まれる時代は終わりを迎えつつあり、つながるための「お膳立て」の必要性が高まっていると説明がありました。
その中で、現代のつながりの特性を踏まえながら、どのようにお膳立て=工夫をしていけば良いのかを、石田先生のゼミ卒業生の話を例に説明をいただきました。「場」をつくるポイントは、①物理的アクセス(近さや参加したくなるコンテンツ)と心理的アクセス(受け入れられている感覚、共感)の仕掛けを考えること、②「場」に対して相手にも自分にも求めすぎない「おおらかさ」を持つこと、③段階的な参加の仕組みを考えることであり、お互いに気楽でいられる、持続可能な方法を考えることの大切さを伝えていただきました。
最後に、多様な相談にのってくれる人の存在、必要なものにつなげてくれる人の存在、定点観測をしてくれる人の存在、そして、同じような境遇・悩みを共有できる場など、「思い」のある人を支える仕組みづくりの大切さをお話いただきました。
「やまなし地域福祉応援プラットフォーム」がそんな支え合いの場になっていけたらと、改めて感じた基調講演でした。
そして、テーマ別懇談会へ!
今回のフォーラムでは、3つのテーマ別懇談会「活動を支え合うネットワーク」「働きたいに寄り添う就労サポート」「災害時の地域コミュニティを支える福祉教育」に分かれてのトークセッションを行いました。

テーマ1のコーディネーターは、山梨県立大学人間福祉学部福祉コミュニティ学科 教授 高木 寛之さん、コメンテーターは、基調講演に引き続き早稲田大学の石田光規さんに登壇いただきました。また、話題提供者として、甲府市で多世代・ごちゃまぜの常設型サロン活動に取り組んでいる「蓬沢いきいきサロン」の猪狩裕太さん、県内の子ども食堂運営者とのネットワーク活動を行っている「やまなし地域子ども食堂グループにじいろのわ」の内藤陽一さん、南アルプス市の市民活動をサポートしている「南アルプス市市民活動センター」の保坂久さんにご登壇をいただきました。

テーマ2のコーディネーターは、北杜市で農福連携を推進している「NPO法人大志」の井上能孝さん、話題提供者として、北杜市で生活困窮者の相談や支援に携われている「北杜市役所 福祉保健部福祉課 生活支援担当 」就労支援員の野口洋子さん、もにす認定(※1)の取得など、製造業の現場で先進的に障がい者の就労サポートに取り組まれている「株式会社ササキ」常務取締役の佐々木麻彩さん、一人ひとりの特性に合わせた就労に向けてのウォーミングアップ支援を実施されている「社会福祉法人小菅村社会福祉協議会」の加藤弘美さんにご登壇をいただきました。
※1 「もにす認定」とは・・・障害者の雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度です。(厚生労働省HP)

テーマ3のコーディネーターは、長年災害ボランティアセンターや災害時の福祉支援に携われている「社会福祉法人長野県社会福祉協議会 まちづくりボランティアセンター」の山﨑博之さん、話題提供者として、笛吹市を中心に防災教育活動に取り組まれている「ボランティア団体 防災ブレーメン」の三枝則子さん、三枝さんとともに世代を問わず楽しみながら防災について学べる”防災キャンプ”を開催している「社会福祉法人昭和町社会福祉協議会」の小沢和典さん、長野県下諏訪町で防災士の仲間とともに”防災かるた”や”防災漫才”など、ユニークな取り組みを行っている「防災ネットワークしもすわ」の高橋敦子さんにご登壇いただきました。
フォーラムをふりかえって
今回のフォーラムは「つながりをはぐくむ」という開催テーマを掲げ、多くの方々とともに、課題やこれからの取り組みについて共有することができたと感じています。この学びを次へとつなげていけるよう、今後もゆるやかなネットワークづくりとともに、コラボレーションが生まれる仕掛けを、プラットフォームの会員と一緒につくっていきたいと思います。ご参加いただきました皆様、本当に有難うございました!
なお、今回のフォーラムの各内容を多くの方にご覧いただけるよう、後日アーカイブ配信を行う予定です。詳細が決まりましたら「わたあめ」に情報を掲載いたしますので、いましばらくお待ちください!
それではまた!
Written by 山梨県社協 コミュニティ再生推進室