ボランティア×社協×市で市民の暮らしを支える!移動支援ボランティア「おでかけ」がスタート!(韮崎市)
韮崎市社会福祉協議会は、市(韮崎市長寿介護課介護支援担当)・社協(韮崎市社協生活支援コーディネーター)・ボランティアの3者が協力し、市民が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、市民ボランティアに移動用車両を貸出し、日常生活に必要な移動を支援する「移動支援ボランティア おでかけ」をスタートしました。
※本会(山梨県社会福祉協議会)は、韮崎市社会福祉協議会の取り組みをやまなし地域支え合いコミュニティ再生推進事業(地域支え合いプロジェクト)のモデル事業として選定し、この取り組みを支援しています!
「おでかけ」を立ち上げた背景
移動支援ボランティア「おでかけ」が立ち上がったきっかけは、韮崎市内で活動するボランティアの方々からの声でした。ボランティア活動などを通じて住民と接する中で、様々な声を耳にしたそうです。「家族と一緒に暮らしているけど、日中はひとりで過ごしている」「足腰が弱ってしまい、ひとりで出かけるのが不安」「子どもたちが食料や日用品を買ってきてくれるけど、できれば自分で買いに行きたい」「市内のクラブ活動に参加したいけど、行くための移動手段がないため遠慮してしまう」「両親に趣味活動を楽しんでもらいたいけど、仕事があるため対応が難しい」…。そんな声を耳にする中で、「自分たちは韮崎市でどんな風に暮らしていきたいか。どうすれば安心して生活ができるだろうか?」と考え、住民同士で支えあう移動支援の必要性を感じたそうです。
多くの場合、ひとりで出来ていたことに何らかのサポートが必要になると、楽しみや生きがいにつながる活動は優先順位が後回しになり、周囲に遠慮し、仕方ないとあきらめてしまう現実があります。その結果、フレイル(加齢による心身の衰え)が進行し、引きこもりがちな生活となり、より外に出かけていく気力が失われてしまう…そんな循環が生じてしまいます。
そんなとき、一緒に出かけてくれる誰かがいることで、「行きたい場所」に行ける。なじみの人に会える。大切にしてきた自分の暮らしを続けていくことができる。そんな暮らしを継続していける韮崎市を目指したいと考え、移動支援ボランティアの立ち上げに向けて、動き始めました。
立ち上げに向けた取り組み
具体的なアクションが始まったのは令和5年5月。
まずは既に移動支援サービスを実施していた昭和町社会福祉協議会を訪問し、移動支援サービスに関する実情や実施方法などの情報収集に取り組んでいきました。その後、NPO法人全国移動サービスネットワーク(https://www.zenkoku-ido.net/)にご協力をいただき、韮崎市長寿介護課・韮崎市社協生活支援コーディネーター・ボランティア代表のメンバーで、より具体的な内容や実施方法等のたたき台を検討し、8月の「移動支援ボランティア講座」で他県の取り組み事例を学ぶとともに、韮崎市における移動支援に関する意見交換を行いました。
「ホームヘルパーと重なる部分があるのではないか」「事故やケガなどがあった場合にどう備えるか」など不安を感じている意見も挙げられていましたが、そうした不安を解消しつつ、まずは取り組んでみて、出てきた課題や疑問はその都度みんなで考えていこう!と、事業開始に向けての準備を進めていくこととなりました。
その中で、「おでかけ」の特徴につながるアイデアも生まれました。「移動時のお話相手など、運転以外の活動も考えられるのではないか」「一人ではなく二人で移動支援する仕組みにしたらどうか。運転は得意だけど、お話が苦手な人や運転は苦手だけどお話が得意な人など、それぞれの良い点を生かして活動できるのではないか」などの提案があり、2人体制でのサポートやタクシー利用時の付き添いボランティアなど、より柔軟に移動のサポートやニーズに応えられるような取り組みを行うこととなりました。
10月上旬には、8月の意見交換を踏まえ、事業実施に向けた勉強会を開催し、改めてボランティアの方々がどんな支援をしていきたいのかを確認しました。そして10月下旬に2回目の勉強会を開催し、韮崎市における事業の対象者や利用条件などを確認しました。
11月中旬には、認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク(https://kanagawa-ido.net/index.html)の方々を講師に迎え、実技等を踏まえた「移動支援ボランティア養成講座」を開催しました。移動支援が必要となる対象者像の理解(体や心の理解・コミュニケーション方法)、運転に必要な知識と心構え(運転時の基本的配慮や車いす利用の場合の安全な対応方法)、移動支援におけるリスクマネジメントなどの講義を行い、サービスを実施するにあたってのより具体的な知識を学びました。
準備を重ねて迎えた12月。プレ実施として、自宅からスーパーまでの送迎と買い物の付き添い支援を2回行いました。はじめての対応でしたが、会話も弾んで自宅まで無事にお送りすることができたとの報告がありました。また、送迎対応の記録や報告の方法など、整理したほうがよい課題も見つかり、実施に向けてより具体的なイメージをつかむことができました。
そして令和6年2月8日。正式に「移動支援ボランティアおでかけ」が誕生しました。
これからに向けて
3月には韮崎市の協力により、広報と一緒に全世帯へチラシを配布し、現在、市民の方々から多数の問い合わせがあり、順次移動支援サービスを実施しているそうです。
移動支援ボランティアの発起人である清水昭二さん(韮崎だんぼらの会世話人)は「ようやく念願だった移動支援ボランティアの活動を始めることができた。地域の方々にも呼びかけを行いながら仲間を増やしていき、年をとっても安心して生活ができる韮崎市になったら嬉しいなと思っています。色々と課題は出てくるだろうけれど、無理なく、柔軟にとりあえずやってみよう!という気持ちで、みんなと相談しながら進めていきたいと思っています。」と笑顔で語ってくれました。
自分たちのまちでの暮らしを、自分たちにできることを持ち寄って創り上げていく。そして、住民が中心となった取り組みを市や社会福祉協議会、生活支援コーディネーターが応援し、サポートしていく。こんな風になったらいいな、こんなことができたらいいなを一緒に育んでいく取り組みが、私たちのまちや暮らしをより豊かなものにしていく。そんな取り組みがより一層、山梨県内で広がっていくよう、本会も、様々な形で市町村での活動をサポートしたいと思います。既に行われている県内各地の移動支援の取り組みをはじめ、「移動支援ボランティアおでかけ」での活動事例を通じて、県内における「移動支援」に関する課題への取り組みが進んでいくよう、学び合いやネットワークづくりに取り組んでいきたいと思います。
Written by 山梨県社会福祉協議会 コミュニティ再生推進室
韮崎市ならびに韮崎市社会福祉協議会HP
韮崎市 長寿介護課介護支援担当
https://www.city.nirasaki.lg.jp/soshikiichiran/chojukaigoka/kaigoshientanto/2/index.html
社会福祉法人 韮崎市社会福祉協議会(移動支援ボランティアおでかけ関連ページ)
https://www.shakyo.or.jp/hp/article/index.php?s=840&m=2783