eスポーツをつうじた新たな居場所づくり 多世代交流を目指した山中湖村社協の取り組み(前編:長池サロンインタビュー)
社会福祉法人山中湖村社会福祉協議会(以下、山中湖村社協)は、令和5年度からeスポーツを活用した新たな居場所づくりを進めています。
新型コロナウイルス感染症により生じた健康不安や、周囲の人々との交流の減少などの課題を抱える中、みんなが気軽に集まり多世代で交流ができる場をつくりたいと考え、地域のサロン活動での『健康ゲーム(eスポーツ)』の推進をはじめ、新たに子どもたちの放課後の居場所『すまいるSPACE』や長期休み中のゲーム大会『NEW PLACE』などの企画を立ち上げ、村の教育委員会・小中学校の協力を得ながら、子どもたちの居場所づくりや多世代交流の場を展開しています。
※本会(山梨県社会福祉協議会)は、山中湖村社会福祉協議会の取り組みをやまなし地域支え合いコミュニティ再生推進事業(地域支え合いプロジェクト)のモデル事業として選定し、この取り組みを支援しています!
今回は、山中湖村長池地区にて行われている「長池サロン」を訪問。健康ゲームの様子と、長池サロンの参加者インタビュー(前編)、山中湖村社協がめざすこれからの居場所づくり(後編)についてお伝えします。
eスポーツとは- |
「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。 山中湖村社協では高齢者が気軽に参加できるよう、「健康ゲーム」という名称で実施しています。 |
-山中湖村長池サロンについて
活動のはじまりは平成26年5月~6月に村包括が開催した「サロンサポーター養成講座」。講座の参加者が中心となり、長池地区での居場所づくりに取り組もうと社協と一緒に話し合いを始め、平成27年4月より本格的にサロン活動が始まりました。
サロン開始時から概ね15~18人が継続して参加されており、現在の最高齢は93歳、平均年齢は79.6歳となっています。比較的集落が密集している長池地区は、どの方も自宅から歩いていける距離に長池コミュニティセンターがあるため、参加しやすい環境にあります。
サロンではクリスマス会や新年会などの季節の行事、誕生日会、レクリエーション、健康体操、手芸、お花見や紅葉狩りなどの野外活動などを行っており、参加者同士で話し合い、内容を決めています。8月と2月以外の年10回開催しており、活動しながらそれぞれの近況や身近な話題を楽しく語り合っているそうです。
-健康ゲーム(eスポーツ)いよいよスタート!
まず始めに、山中湖村社協の羽田さんが、eスポーツは、視覚・聴覚・手などを同時に使い、脳の活性化や体を動かすため、介護予防や認知症にも効果があることを説明。今回は「太鼓の達人」というリズムゲームを活用して、手と頭の運動に取り組みました。
健康ゲーム終了後は、恒例のお茶会です。そこで、長池サロンの方々にお話を伺いました!
ー長池サロンインタビュー
-みなさんはいつ頃からサロン活動に参加されているんですか?
マサエさん 開始からだから9年くらい経つかなぁ?ほとんどのメンバーは最初の立ち上げの頃から参加しています。適宜住民の方に一緒に活動しませんか?と声をかけているので、最近、若手数名が参加するようになりました。
-みなさんがサロン活動に参加されている理由を伺ってもいいですか?
マサコさん 「楽しみ」と「笑い」ですね。ここにくればみんながいるからね。
アヤコさん やっぱりみんなの顔を見れるのが一番。近くに住んでいても、顔を合わせる機会がなかなかないからね。
キミコさん 私もみんなと同じかなぁ。ようやく暖かくなったから、顔を合わせる機会が増えてきました。冬場は寒いし、外に出ていくのは厳しいからね。長池地区は小さな集落なんだけど、何かきっかけがないと集まらないから、月1回でもサロンがあるよってなると、みんなが集まる理由ができるんです。
マサエさん 近隣でちょっとした集まりはあるんだけど、高齢者がみんなそろって集まれる機会はサロンだけになるかな。
サチコさん 地区の役をやっていたりすると集まることもあるけど、それ以外はあまり集まるってことがないので、月1回集まるサロンはみんなの楽しみの場所になっています。年間のスケジュールを考えていて、手芸だったり、クリスマス会だったり、春はお花見、秋は食事会など年に2回は外出したりしています。いろんな活動ができてとっても楽しいですよ!
マサエさん 食事会の時、割と参加率が高いよね!笑
-いまメンバーは何人なんですか?
マサエさん 長池サロンの登録メンバーは18人です。中には体調の問題でサロンには出られないんだけど、お便りとかを見せてもらったり話を聞いたりしたいからといって、入っている方もいます。
マサコさん 一番年長の方だと93歳だよね。さっき一緒に太鼓をやってた人だけど。(この後、用事があるとのことで先に帰宅されていました)
-えー!?先ほどしっかりとした足取りで歩かれてた方ですよね?
マサエさん そうそう!畑もしてるし、車も運転してるから近くのスーパーでよく会います。笑
サチコさん 先日のグラウンドゴルフ大会でも近隣から100人集まったらしいんだけど、その中で優勝したらしいよ。笑 本当に元気ですごいよね!
マサコさん みんなの目標だね!
-今日の健康ゲーム(eスポーツ)は、どうでしたか?
マサコさん 最後の曲はリズムに乗りながら叩いてみたけど、なかなか点数が出なかったね。笑
サチコさん 実は今回2回目で、1月に社協ではじめて体験する機会があったんだけど、前より能力が落ちた気がする。笑
アヤコさん 叩く場所が悪かったのか、うまく反応しなかったね。
羽田さん みんなお上品過ぎちゃったかもしれないですね!笑
アヤコさん 良い風に言ってもらえてありがとうございます。笑
-やっぱり普段とは違った手と頭の使い方をするので、予防にも良いような感じがしますよね。
マサコさん それもあるけど、みんな近所同士でしょ?だから「これはこうしたほうが良いよ」とかアドバイスをもらえたりするのも良いよね。
マサエさん うまくできないのにアドバイスだけはするっていうね!笑
マサコさん そうやって、協力し合って楽しめるっていうのがまた良いわよね!
長田さん ゲームだと子どもたちも一緒に楽しめるっていうのもありますよね。この間、社協に中学生が遊びに来たときには、みんなで分担して叩く「協力プレイ」で遊んでいたので、そういう風に一緒にやってみるっていうのも良いですよね。
キミコさん 奥が深いんだねぇ…笑
マサエさん 孫世代の子どもたちと一緒にやってみるのもいいわね!
-最後の質問になりますが、今後のサロン活動に関する抱負がありましたら教えてください!
マサエさん いまちょっと気になっているのが、数えの70歳の方に声をかけても割とまだ現役で働いている方が多くなっているのと、年をとって足が弱くなってくると参加が難しくなるので、抜けていく方が増えているのが課題かなぁと思っています。
私が欲しいなぁと思っているのは、1年中開いていて、いつでも集まっておしゃべりしたり、手伝いをしたりできる地域の居場所かな。高齢者でも子どもでも、帰ってきてそこに行けば、誰かがいるっていう環境が私の理想です。
昔、この辺りはおじいちゃん、おばあちゃんがいる家がほとんどで、子どもが学校から帰ってきたときにはちゃんと迎えられる人がほとんどの家にいたんです。いまはそんな家も少なくなっちゃったけど、行けばいつでも誰かがいる、だれがいつ来ても良いような地域の居場所をつくれたらなと思っています。年を取っても、自分で歩いていける場所があるっていうのが何よりだもんね。私がいまより動けなくなったら、そこで留守番してもいいかな。笑
後編では住民が中心となった地域づくりを支えている山中湖村社協の羽田さんと長田さんへのインタビューをお届けします!
Writtten by 山梨県社会福祉協議会 コミュニティ再生推進室