参画パートナー紹介NO.1:子どもサポートやまなし

本連載記事ではやまなし地域福祉応援官民連携プラットフォームのネットワークづくりの一環として、会員登録をいただいている参画パートナーの皆さんをインタビュー形式で紹介していきます。

聴き手 山梨県社会福祉協議会コミュニティ再生推進室 矢巻

語り手 NPO法人子どもサポートやまなし 事務局長 木村 輝三 さん

こどもサポートやまなしの活動

矢巻 本日はよろしくお願いいたします。まず子どもサポートやまなしではどんな取り組みをされているのか教えてください。

木村 24時間の電話での相談対応を中心に、旧山城カトリック教会で行っている子ども向け学習会、生活に困窮している家庭への生活支援を行っています。

今日食べる物がないとか、生活が苦しいとか、様々な困りごとへの相談対応・生活支援に取り組んでいます。最近は住まいの確保なんかも含めて、お手伝いする案件が増えています。

特にDV(ドメスティック・バイオレンス 以下、DV)に関する相談が多くなっています。“子どもサポート”って謳っていながら大人の相談?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、困難を抱えたご家庭に子どもがいるケースが多く、子どもに限らず対応をしています。

また、自前の建物とアパートの一部を借り受けて、「緊急宿泊施設」を運営しているのですが、今は空きがなくいっぱいになってしまっているため、新たな受け入れができず、困っています。

暮らしの立て直しには住まいの確保は必要不可欠ですので、こうした支援に理解のある大家さんとつながれたらといつも考えています。矢巻 子どもに限らず、ひとりひとりの困りごとに応じて対応されているんですね。ちなみにそうした相談はどのようなところから寄せられることが多いのでしょうか?

木村 全体としては行政からの割合が多いかと思います。子育て支援関係の担当課や男女共同参画課、女性相談室とかですね。あとは支援でつながったお母さんたちの口コミで「あそこへ行ってみたら?」と紹介で来る方もいます。

団体設立のきっかけ

矢巻 子どもサポートやまなしはどのような経緯で設立に至ったのでしょうか?

木村 山梨ダルク(薬物・アルコール依存症からの回復を手助けする民間のリハビリ施設 https://yamanashi-darc.jp/)ってご存知ですか ?2008年にダルクができた時、その活動を支援する支援会を作ったんです。ちょうどリーマンショックの頃で、いわゆるホームレスがいっぱい出てしまうなど色々あった時期です。その時、「夜、何人かで街を回ってみようか」って話しになったんです。公園や駅周辺を見たら、路上で生活されている方が10人ぐらいいました。何かできることはないかと考え、まず炊き出しを始めたんです。

その炊き出しの活動は、「山梨ライフサポート」という団体の設立につながって、今も続けられています。

そして、もう1つの活動が子どもサポートやまなしの設立につながっているんですが、支援会と連携している団体にキリスト教の教会があるんですね。教会に来られる方は、フィリピンとか南米とか、外国人の方が多いんです。自分の国でカトリックを信仰しているので、日本で言えば子どもが生まれたら「お宮参り」に行くのと同じで、子どもが生まれたら教会へ行って洗礼を受けて、といった風に教会とつながっているんです。

だからある意味、困ったときの「駆け込み寺」にもなっていて、何かあったら教会にいらっしゃることが多いんです。そのため、現在も相談全体のうち約25%が外国人からの相談となっています。

そんな背景もあって、支援会の活動の中で色んな方のお話を聞いてきました。ホームレス状態になってしまった方のお話を聞くと、やはり子どもの時に虐待受けていたとか、親が離別したとかですね、そういう背景を抱えた方が多かったんです。

DVの相談でもそういった話がよくあったので、やっぱり子どもの頃から何らかのサポートが必要で、そこからの予防的な取り組みをする必要があるよねという話になり、「子どもサポートやまなし」を立ち上げました。

食糧支援から始まり、現在はフードバンクや地域NPOとの協力を通じて、緊急性の高い家庭への個別対応を行っています。我々は専門家ではないので、その方の相談事を聞いて必要なところにつなぐという感じで関わっています。当事者はどこへつながればいいのかを整理できていない場合が多いので、話を伺いながらそれを一緒に整理し、必要なところにつないでいく。それが我々の役割だと思っています。

子どもや保護者を取り巻く現状

矢巻 最近の傾向や課題として、何か感じていることはありますか?

木村 相談支援では、24時間対応の電話相談を中心に、子どもの病気や住宅問題など幅広い悩みに寄り添っています。DVや精神的な課題への対応が必要な場合も増えていて、医療機関との連携も進んでいます。

また、所持金があと150円だとか、電気が止まったとか、本当にギリギリの状況になってから、ようやく相談に来られるという方が多いと思います。「いよいよ困ったら来る」のではなく、より早い段階で、例えば見通 しとして生活が厳しくなりそうだなっていう時点で相談できる仕組みを考えていかなきゃいけないかもしれないですね。また、このぐらいの状況になったら相談してくださいという目安のようなものを伝えられるだけでも違うと思います。相談者は「何て言われるんだろう…」と不安や怖さを感じているので、勇気をだして相談しやすい環境を考えていくことも重要だと思います。

また、子どもたち向けの学習会を月2回行っているんですが、送迎の問題が大きく、参加できる子どもたちが限られている現状があります。親御さんは日中仕事されている方も多く、送迎の対応ができない家庭も多いんです。私たちの団体は年配の方が多いから、子どもたちを乗せての送迎は心配が大きく、難しい現状があります。

山梨カトリック福祉センター(甲府市内)での学習会の様子

ボランティアの方々もだんだん高齢化してきており、人が集まりにくくなっています。最近は70代でもみんな働いていますからね。自分たちが主体的に行っているボランティアなので自由度は高いんですけど、皆さん自分の生活もありますから、体制的には不安定なんです。

どのような仕組みやサポート体制が求められているか

矢巻 日々相談支援などに取り組む中で、どのような仕組みやサポート体制が重要だと感じていますか?

木村 日々の活動の中で感じていることは、同じ経験をされてきた方が、すごく力になってくれるということです。ここでの出会いをきっかけに、活動に関わってくれている人には大変助けられています。

なんて言えばいいかなぁ、見ていて全然違うんですよ。相手の立場に立って、同じ目線で見られるというか、共感力というか、相談者からの信頼感がまったく違います。「助けてあげる」っていう感じではなく、話しを良く聞きながら、対応してくれています。

住まいの支援では、緊急宿泊施設や借上げアパートの運営を通じて、一時的な保護を行なっていて、生活保護の適用や公営住宅への移行支援を進めていますが、入居を断られてしまうケースもあり、生活のサポートや保証を担えるようなところがないことで、生活の基盤になる「住まいの確保」が難しい現状があります。

そうした理由もあり、緊急宿泊の期間が長くなってしまうという問題が生じています。当初は2 ~3週間を目安としていたんですけど、今は数か月~1年ぐらいになってしまうケースもあります。民間賃貸への円滑な入居を実現するための支援体制の強化をより一層求めていきたいと思っています。

これからの活動で大切にしたいこと

矢巻 これからの活動で目指していきたいことは何ですか?

木村 根本突き詰めれば、我々がいなくてもこうした支援が届く社会にすることです。

以前DVの関係でつながった方の話ですが、地域のおじいちゃん・おばあちゃんがそのご家庭の面倒を色々と見てくれていたそうです。おかずを届けたり、子どもが朝に学校行くのを見守ってくれたり。地域の中でそういうサポートが、自然に生まれてくる社会であったらと思います。

ただ、そういう関係が生まれるようなご近所付き合いとか、周りの方との接点が少なくなっているように思います。

理想は宮沢賢治の「雨ニモマケズ」にあるデクノボウですね。俺たちにできることは特別なことじゃなくていい、デクノボウでいいんだよって。だから自分の周りの人たちに関心持って、接点を作ってもらえたらいいなと思っています。

矢巻  そうしたときに大事にしていることは何ですか?

木村 「その人の立場になって考える」っていうことを大事にしています。その人の気持ちになれるかどうか、これはすごく大事なポイントだと思います。そこが欠けていると、助けてやってるんだみたいなことがどうしても出てしまうと思います。相談者はそこをよく見て感じていますから。この人は本当に信用できるのかどうかって。目に見えない、言葉でもない、何かにそこが含まれていて、それが「この人はわかってくれている」ということにつながっているんだと思います。

プラットフォームへの期待

矢巻 最後に、プラットフォームへの期待を教えてください。

木村 プラットフォームという大きなつながりの中で、会員同士で何か困ったことがあったら、助けていけるような環境が作れたらいいなと思っています。先日も子どもたちの支援に関連する助成金の情報を頂いて、申請をさせていただきました。我々みたいな小さな団体は目の前の事が中心になってしまいがちなので、自分から情報を取りに行くということが後回しになってしまうことが多く、該当するものの情報を丁寧に連絡いただけて、本当にありがたいです。これからも団体に寄り添ったサポートをしていただけることを期待しています。


NPO法人こどもサポートやまなし

(本部)〒400-0032甲府市中央2丁目7―17甲府カトリック教会内

TEL055―237―2531

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